【読了分】
  • 任侠病院(今野敏)……地域医療を担う病院が暗く冴えないのは、出入り業者があこぎな暴力団だったから。そんな病院の再生を目指すため、 あこぎな広域系暴力団に立ち向かうのは、地域と共に生きてきた弱小暴力団。外では巨大な組織、内では住民の感情、内憂外患を抱えながら、病院経営ド素人が 奮闘する。
  • 民王(池井戸潤)……総理大臣と馬鹿息子が突然入れ替わってしまった。突然の総理大臣役という無茶ぶりに右往左往する息子。国会答弁で秘 書のメモを読み上げるも、漢字が読めない。一方、総理大臣の父親は、就活でやたら偉そうに受け答えをしてしまう。政敵に異変を悟られる前に元に戻さなけれ ば日本が危ない!
  • 完盗オンサイト(玖村まゆみ)……小さい頃から高いところに登るのが好きだった主人公。工事現場のバイトをしている際、建設中の建物によじ登っているのを 見とがめられてしまうが、それがきっかけで、とんでもない依頼を受ける。それは、皇居によじ登って盆栽を盗むという依頼。刻一刻と変わる状況に瞬時に対応 しながら皇居に侵入した主人公を待ち受けていたのは……。
  • ゲート《冥門編 》(柳内たくみ)……銀座に異世界との接点が出現し、押し寄せてきた敵を自衛隊が迎え撃つシリーズの完結編。ひずみが生じ、接点である「門」が維持できなくなる中で、諸外国の思惑が交錯する。
  • 私と悪魔の 100 の問答(上遠野浩平)……妙なからくり人形から、次々と質問を受ける女子高生。これまでの価値観が次第に崩れていく。禅問答のようなこういう本を読んで、あれこれ考えるのもたまにはいいかも。
  • 隠し事(羽田圭介)……彼女の携帯メールを 1 回盗み見してしまったことにより生じる疑心暗鬼。ばれないように盗み見を繰り返す日々が始まる。友達に相談するも、本人に直接聞くことはできず、深みにはまっていく。日常生活でありそうな話を題材にしたストーリー。
  • 五龍世界 (WOOLONG WORLD) - 霧廟に臥す龍(壁井ユカコ)……災厄を見通す力を持つ少女ユギは、災厄の源として疎まれていた。そんな少女が、有名な道士に師事したり、変な牧師を助けたり、トラブルに巻き込まれながら成長していくファンタジー小説。
  • ヘルたん(愛川晶)……新米ヘルパーが居候した先、兼、介護を担当する老人は、実は往年の名探偵だった。身体が不自由なためにヘルパーを依頼している名探偵は、実は痴呆症でもある。痴呆であることを隠し続けながら名探偵ぶりを発揮する老人と、高校の頃の恋人と一緒に、介護と探偵の両軸でストーリーが展開していく。
今期で面白かった上位 3 位は、任侠病院、民王、完盗オンサイト。

任侠病院で病院再建を担うのは、善玉とはいえヤクザはヤクザ。組織を維持していかなければいけないし、住民との葛藤もある。その辺りの采配が見事。

民王は入れ替わりのドタバタ劇が面白いのと同時に、政治にも一家言ある骨太のストーリー。

完盗オンサイトはクライマーという普段触れない職業が題材になっているのが新鮮だった。登場人物もとがっている。



【 読み終わった本シリーズ 】