『星間商事株式会社社史編纂室』 三浦 しをん(著)/筑摩書房(刊)

同人誌を作ろう!

突飛な提案が、現実になっていく。

主人公は左遷されて配属になったのは、会社設立 50 周年を記念した社史の編集業務。

同僚たちもみんな訳ありのようだが、どうにも士気が低い。そもそも、会社は既に 60 周年……。ずるずるとスケジュールが遅延しているが、周りを叱咤して真面目に(普通の社史の)編集を進めていく。

そんな折、社史の中に空白の時期があることに気づく主人公。この時期だけは、生き証人達がみな口をつぐんでしまうのだ。挙げ句、どこからともしれない圧力までかかってくる。

そういう妙なところがあると、かえって燃えるのが人情というもの。どうやら、一人の女性の物語が隠されているらしい。

圧力に屈すると見せかけて社史の編纂を続ける一方で、裏社史を同人誌として編纂していく。サリメニという小さな国を舞台にした出来事を調べ、同人誌のストーリーに昇華させていく。

監視の目が次第に厳しくなる中、裏社史の行方はどうなる!?



自分が本を選ぶ時、作家ではなくタイトルで選ぶことが多い。

今回は、フォロワーさんに社史編集の仕事をしている人がいて、気になったので読んでみた。

想像していたのとは全然違う内容だったが、いろんな意味で二重三重に絡み合う物語の展開が巧みな一冊だった。