格安 GPS ロガーの CANMORE ELECTRONICS GT-730FL-S(現在 3,000 円前後)と、ボイスメモなどの付加機能を持つ GPS ロガーの COLUMBUS V-990(最近 8,500 円で購入)を、高尾山登山で同時に持ち歩いて、軌跡の精度を比較してみた。

GTvsV990_KeioLineまずは、高尾山に行くまでの交通。京王線の北野駅から、高尾山口駅まで。

全景は右の写真のような感じ(クリックで拡大)。青線が GT-730FL-S、緑線が V-990。

(1) 一番左側で、青線と緑線が大きく異なっている。
(2) 左から 3 分の 1 くらいのところも、少し異なっている。

GTvsV990_KeioLineMapGoogle Earth だと地理関係がイマイチわかりづらいので、参考に Google Map での軌跡も。

GT-730FL-S のユーティリティーである GPS Photo Tagger が出力する KMZ ファイル(Google Earth 形式)は、何故か Google Map から呼び出せない(たいていの KMZ は Google Map でも使える)。

そこで、kmz2itm 変換サイトで、GT-730FL-S の軌跡と V-990 の軌跡を合体させて GPS Photo Tagger 形式(ITM 形式)に変換し、GPS Photo Tagger 上で Google Map を表示させている。GPS Photo Tagger は複数の軌跡点を 1 つにまとめる感じで線を作成してしまうので、ディティールが失われてしまうが(KMZ にエクスポートする際は正確にエクスポートする)、およその雰囲気はつかめる。

GTvsV990_KeioNearTakao閑話休題。

GT-730FL-S と V-990 で軌跡が違う箇所を詳しく見てみる。

(1)

京王線の高尾駅から少し西に行くと、トンネルとなる。

トンネル内は当然両者とも電波を拾えないが、トンネルを出たあと、緑線の V-990 はすぐに再捕捉している。一方、青線の GT-730FL-S は再捕捉が少し遅れているので、軌跡がショートカットしてしまっている。

GTvsV990_KeioNearHazama(2)

両者の軌跡が少し異なる狭間駅付近。

V-990 はきちんと線路上を移動しているが、GT-730FL-S は少しずれている。

GTvsV990_Inariyama続いて、高尾山登山の軌跡。上りは稲荷山コース、山頂に着いたあとは、1 号路でビアガーデンまで歩いている。

さきほどの電車での軌跡よりも、両者の軌跡が異なる部分が多い。

GTvsV990_InariyamaIriguchiMap2登山の軌跡は、Google Earth で見ても、どちらが正しいのかまったくわからないので、カクカク軌跡になってしまうが GPS Photo Tagger 上で詳細を比べることにする。

登山コースの最初、清滝駅から登山道に入るところでは、青線の GT-730FL-S がショートカットをしてしまっている。電波を拾っていないというわけではなく、拾っており、拾った上でそこを通っていると判定している。しかし実際には、V-990 の軌跡が示すように迂回している。

他にも、カーブのところなど、V-990 の方が正確なことが多いことが見て取れる。

GTvsV990_Yakuoin登山コースの終盤、薬王院付近の軌跡が右の図。

薬王院に入る前(薬王院の西側)は、GT-730FL-S の方が良い結果を出している。V-990 は、実際の道よりも、少し南側にずれている。

薬王院の敷地内は、V-990 の方が良い。V-990 は建物を回り込んでいる様子がきちんと再現されているが、GT-730FL-S は建物の中に突撃してしまっている。

薬王院を抜けたあと(薬王院の北東)も V-990 の方が良く、道に沿って軌跡を拾えている。

全体を総括すると、新型で価格も高い V-990 の方が、電波感度が高く、軌跡の精度も高い。

今回の比較に限らないのだが、全体的な傾向として、電波感度は V-990 の方が良いことが多い。電車内のような微妙な遮蔽物の中にいる場合、GT-730FL-S は電波をつかまないのに V-990 が電波を捕らえていることがある。GPS チップが高感度 MTK II であることが寄与しているのだろう。

一方で、V-990 は、測定開始地点の位置がずれる確率が GT-730FL-S より少しだけ高いようにも思う。今回は問題なかったが、測定開始地点が実際の位置とは異なり、少し移動すると正しい位置になる、というケースが何回かあった。V-990 停止時の位置測定精度を上げるための補正が入っているようで、その補正がうまく効いていることもあるのだが、測定開始時には裏目に出ているのかもしれない。

それぞれのロガーのこれまでの印象をまとめると、以下のような感じ。
  • GT-730FL-S……激安かつ、(多少精度は劣るが)実用十分な軌跡を拾える。電源を入れるだけで測定ができ、PC 本体にケーブル不要で接続できるなど、お手軽さはピカイチ。付属ユーティリティー(GPS Photo Tagger)で軌跡の編集ができるのもポイント高い。
  • V-990……電波感度が高く、多少の遮蔽物の中でも電波を拾え、再捕捉も早い。軌跡の精度も、たまにずれるご愛敬はあるものの、全体的に見るとかなり精度が高い。microSD 1 枚で最大 1 年半分の軌跡を保存できるので容量の心配も無い。一方、microSD を入れ忘れると記録ができない、付属ユーティリティー(Time Album)での軌跡編集が数値入力方式で分かりづらいなど、お手軽さでは負ける。

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